機種による比較 本体 フラット型では、Xface, anritsu DX2000が非常にコンパクトで 狭い場所で使うには最適だと思われる。CIT-XE 1PLの本体は、他の CITシリーズと同じ大きさをしているので、かなり場所を必要とす る。XMiNT Fはモノクロ型やカラー型ほどではないが、本体とディ スプレイで意外に場所を必要とする。 モノクロ型、カラー型の本体はディスプレイの下にちょうど置く ことができるくらいの大きさである。重さもどれも5kgほどしかな い。 モニタ フラット型では、CIT-XE 1PL が比較的広く、見やすかった。 anritsu DX2000, Xface はやや画面が狭いので、少し見にくい。し かし、この2機種は本体が小さいのがメリットなのでしかたがない といえる。XMiNT F は他機種に比べ、視野範囲がせまい。また、色 調も XMiNT F 以外はオレンジ系であるが、XMiNT F はもっと赤み がかった色になっている。 モノクロ型、カラー型どちらも、X端末といって特別なことはな い。 モノクロ型や、カラー型では本体よりもディスプレイの大き さで必要なスペースが決定する。また、ディスプレイはかなり大き く重いので一人でセットアップするのはかなり大変である。 キーボード キーボードの印象を一言で言うと、CITシリーズのATキーボード はやや硬い。日本電算機のX端末のATキーボードは、キーストロー クが浅い。NCD19cのキーボードは、少し重かった。anritsu DX2000 のキーボードは、小さくて使いやすいが微妙にキー配列が違うのが 気になった。XMiNT F のキーボードの小さく非常に使いやすい。 ただ、若干キーが軽いという感じをうけた。 マウス マウスの使いごこちの差はあまりない。マウス自体の使いごこちより アプリケーションのレスポンスによる差のほうが大きい。 性能 これらの X端末の性能を x11perf ver 1.3 を用いて測定してみた。 ホストマシンは Sparc ELC である。 また、それぞれの X端末のサーバの version は CIT-XE 1PL version 1.89 CIT-XE+ version 1.90+ CIT-XE256C+ version 1.90+ anritsu DX2000 version 2.0.2 XMiNT F X11R4 2.06.01 Xface X11R4 2.05.00.08 GlobalXM X11R5 3.01 GlobalXRM X11R5 3.11 GloablXRC X11R5 3.11 SuperXR X11R5 3.10 NCD19c server 2.4.P beta #1499 09/19/91 である。CIT シリーズおよび anritsu DX2000 は ROM内蔵のサーバ を使用した。比較のため、sparc ELC でも測定を行なった。 ・Dot Dot は sparc が一番はやく、GlobalXRM, SuperXR が sparc の約 0.8倍、GlobalXM, XMiNT F, CIT-XE256C+, CIT-XE+ が 約 0.5倍、 GlobalXRC, NCD19c, anritsu DX2000, CIT-XE1PL が 約 1/3倍であっ た。Xface が一番遅く、sparc の 約 0.15倍ほどの速度しかでてい なかった。 ・rectangle 1x1 では sparc が速いが、領域が広くなるにつれ X端末の方が速 くなってくる。1x1 rectangle では GlobalXRM, GlobalXM, SuperXR が sparc 0.5〜0.7倍ほどであるが、残りの機種では 1/3 以下の速度しか出なかった。しかし、領域が広くなり 500x500 rectangle になると逆に sparc が一番遅く、X端末で一番遅かった anritsu DX2000, GloballXRC でも sparc の約 2倍、速かった CIT-XE+では 10倍以上の速度が出ていた。全体的には、GlobalXRM, GlobalXM, SuperXR が速く、複雑になるほど SuperXR が速かった。 anritsu DX2000 はどの rectangle でも速くなく、CIT シリーズは 単純な rectangle は速いが、複雑になると遅かった。 ・segment line segment は pixel が少ないと、sparc が速いが、pixel が多 くなるにつれ、X端末の方が速くなっていった。1-pixel line segment では sparc に比べ、X端末で一番速い SpuerXR でも約 0.8倍程の速度しか出ていなかったが、500-pixel line segment で は SuperXR は、sparc の約 10倍程の速度を出していた。全体的に は以外にもカラー型の方がモノクロ型よりも速いものが多く、フラッ ト型は遅かった。CITシリーズは単純な line だと速かったが、 dashed segment などになると非常に遅かった。dashed segment で は日本電算機の X端末と NCD19c が速かった。horizontal line segment ではフラット型が遅く、sparc, GlobalXシリーズ、 SuperXR, CIT-XE+ が速く、vertical line segment では GlobalXRC, SuperXR, NCD19c が速かった。wide horizontal/vertical line segment になると GlobalX シリーズが 速かった。 ・line line では全般的に SuperXR の速さが目立つ。anritsu DX2000 は 全般的に遅い。pixel が多くなるにつれ sparc に比べX端末が速く なり、500-pixel line では SuperXR, GlobalXRC が sparc の10倍 以上の速度を出した。dashed line になると特に CIT シリーズの 遅さが目立つ。日本電算機の X端末と NCDD19c が sparc に比べる と速かった。wide line でも anritsu DX2000, CIT シリーズが遅 い。速かったのは sparc で、SuperXR, NCD19c がかなり sparc に 近かった。 ・rectangle outline rectangle ouline では SuperXR, GlobalXRC が速かった。NCD19c GlobalXM もそこそこ速かった。wide rectangle outline になると GlobalXM や GlobalXRM , CIT-XE+, CIT-XT256+ が速くなった。 フラット型は全般的に遅かった。 ・circle circle は CIT シリーズ、anritsu DX2000、などが遅い。速いのは SuperXR, NCD19c, GlobalXRC で 500-pixel circle では、sparc の約 13〜15倍ほどの速度であった。sparc は相変わらず pixel が 多くなると X端末に比べ遅くなる。dashed circle も CITシリーズ、 anritsu DX2000 などが遅く。NCD19c, SuperXR が速い。wide circle は SuperXR, GlobalX シリーズが速いが wide dashed circle では NCD19c がとびぬけて速かった。partial circle, wide partial circle ではNCD19c, SuperXR, sparc などが速い。 solid circle, fill chord partial circle などではモノクロの GlobalXM や GlobalXRM なども速いが一番速いのは SuperXR であっ た。遅いのは CIT-XE1PL, CIT-XE+, anritsu DX2000 である。これ より少し速いのがCIT-XE256C+, XMiNT F, Xfaceである。 ・ellipse ellipse に関しては、SuperXR が圧倒的に速い。CIT-XE1PL、 CIT-XE+、anritsu DX2000 が遅く、次に遅い CIT-XE256C+、XMiNT F などの半分くらいの速度しか出ていない。dashed ellipse / double dashed ellipse になるとNCD19c が速く、SuperXR, GlobalX シリーズがこれに続く。wide ellipse では SuperXR が速 く、次に、この半分くらいの速度の GlobalX シリーズが来る。 anritsu DX2000、CIT-XE1PL、Xface が非常に遅く sparc と比べる と0.001 倍くらいの速度しか出ていない。逆に SuperXR などは sparc の2〜5倍くらいの速度が出ている。wide double-dashed ellipse はNCD19c が圧倒的に速い。partial ellipse は NCD19c、 sparc、SuperXR が速く、CITシリーズ、anritsu DX2000 が遅かっ た。filled ellipse では日本電算機の X端末、NCD19c などが速く、 CITシリーズ、anritsu DX2000 が遅かった。fill chord partial ellipse / fill slice partial ellipse は全般的に sparc の方が 速く、広い領域では SuparXR が sparc と同じくらいの速さであっ た。 ・triangle equivalent triangle は SuperXR、sparc、GlobalXシリーズが速い。 triangle でも sparc は領域が大きくなるにつれて X端末に比べて 遅くなる。それでも CITシリーズや anritsu DX2000 よりは速かっ た。 ・trapezoid trapezoid も CITシリーズ、anritsu DX2000 が遅い。これらの次 がXMiNT F、Xface で、NCD19c、GlobalXM、GlobalXRC、GlobalXRM と続き、一番速いのが SuperXR である。sparc は狭い領域では GlobalXRM より速いが、広くなると、XMiNT F、Xface なみになる。 tiled trapezoid は日本電算機の X端末が速く、CITシリーズ、 anritsu DX2000が遅い。 ・complex equivalent complex polygons も SuperXR、GlobalXシリーズ、 sparc が速い。これに続くのが NCD19c である。これに関しても、 CITシリーズ、anritsu DX2000は遅い。 ・text text 関係も、SuperXR が一番速く、続いて GlobalXRC, GlobalXRM, GlobalXM、NCD19c そして Xface、XMiNT F などが続く。 anritsu DX2000 が遅く、sparc の半分くらいの速度だった。CITシ リーズはsparc よりやや遅い程度である。ところが、image line になると CITシリーズはかなり速くなり、GlobalXシリーズと同じ 位にまでなった。 ・scroll scroll でも 10x10 pixels や 100x100 pixels は SuperXR が速い。 sparc は 10x10 pixels では速いが、500x500 pixels では一番遅 くなってしまう。500x500 pixels では CIT-XE+、GlobalXM、 GlobalXRM、CIT-XE1PL が速かった。 ・copy copy に関しては、10x10 は SuperXR, sparc, NCD19c が、100x100 は GlobalXM, NCD19c, GlobalXRM, CIT-XE+ が、500x500 は CIT-XE+, GlobalXM, GlobalXRM, CIT-XE1PL が速い。 ・PutImage/GetImage PutImage では、10x10 は SuperXR, NCD19c, sparc が、100x100 は GloballXRM, GlobalXM, XMiNT F, sparc が、500x500 は sparc, XMiNTF, GlobalXRM, GlobalXM が速かった。遅かったのは、 CIT-XE256C+, GlobalXRC である。 GetImage でも、10x10 は sparc, SuperXR, NCD19c, GlobalXM が 100x100, 500x500 では sparc が速かった。X端末では GlobalXM, GlobalXRM, Xface が速かったが、それでも、sparc の 半分くらいである。 ・NoOperation, GetAtomName, GetProperty, Change graphics context NoOperation に関しては SuperXR が sparc を越えて一番速く、 CITシリーズが遅かった。GetAtomName / GetProperty は sparc が 一番速く、NCD19c で約 0.75、SuperXR、GlobalXM, Xface で約 0.6 倍の速度であった。 Change graphics context は SuperXR、sparc が速く、CITシリー ズ、anritsu DX2000、XMiNT が sparc の 1/3 以下の速度で遅かっ た。 ・create, map, unmap, destroy, hide/expose create and map subwindows / create unmapped window では SuperXR が一番速く、次に sparc が続き, その約 0.5〜0.7 位で NCD19c, GlobalXM, GlobalXRM, GlobalXRC, Xface が続く。CITリ シーズとanritsu DX2000 は sparc の約 1/5 以下であり遅かった。 map window via parent も SuperXR が一番速く sparc の 2倍以 上である。その次は sparc,GlobalXシリーズが続く。おそいのは CIT-XE1PL, anritsu DX2000, XMiNT F である。 unmap window via parent では NCD19c が速くなり、sparc と同 じ位になり、CITシリーズが遅くなる。 destory window via parent も unmap window via parent とほ ぼ同じ。 hide/expose では anritsu DX2000 が CITシリーズと同じ位に遅 くなるほかはあまり unmap, destory と変わらない。 ・move, resize, circulate move window も速いのは SuperXR で、sparc の約 1.6〜1.7倍で ある。sparc の約 0.7倍くらいで NCD19c や GlobalX シリーズが 動く。move window も CITシリーズが遅く、sparc の約 0.2倍も出 ていない。その他の機種は sparc の 約半分の速度である。しかし、 moved unmapped window になると、X端末が遅くなり、sparc の 約 1/3 位しか出なくなる。逆に move window via parent になると、 X端末が速く SuperXR では sparc の約 2.5倍、GlobalXシリーズや、 NCD19c では sparc と同じくらいになる。 resize window も move window とほぼ同じであった。resize unmapped window も moved unmapped window と同じような結果を 示した。 circulate window もまた、move window, resize window と同じ ような結果を示した。circulate unmapped window では moved unmapped window や resize unmapped window ほでではないが、や はり X端末に比べて sparc の方が unmapped window でない場合よ りも速くなった。 ・まとめ フラット型の中で比較すると、Xface, XMiNT F が比較的速く、そ れほど遅いとは感じられない。anritsu DX2000, CIT-XE1PL では遅 いのが目につくことがある。 モノクロ型では、GlobalXM, GlobalXRM が速く、CIT-XE+ が遅かっ た。GlobalXM と GlobalXRM ではそれほど速度の差はなく、どの operation でもほとんど同じような性能を示した。 カラー型では SuperXR が非常に速く、今回テストした X端末の中 で一番速いといえるだろう。GlobalXRC, NCD19c もなかなか速く モノクロ型の GlobalXM, GlobalXRM などと同じ位の性能をしてい るといえる。 フラット型、モノクロ型、カラー型で分類して比較すると、結構カ ラー型が高速である。これはアクセラレータなどを搭載し、描画を 高速に行なえる機種が多かったからであろう。フラット型はそんな に速くはないが、非常に遅いというわけでもない。operation や機 種によってはモノクロ型やカラー型より速いものもある。 sparc と X端末を比べると、複雑な操作や広い領域の描画の場合に おいて 相対的に X端末の方が速くなる場合が多い。狭い領域など では sparc の方がかなり速いが、X端末の速いタイプ(例えば SuperXR, NCD19c など)でも同じ位の性能を得ることができること が多い。 全体をまとめてみると、SuperXR が非常に速いといえる。また、 NCD19c や GlobalXシリーズも比較的速い。GlobalXシリーズの中で はモノクロの GlobalXM, GlobalXRM の方が、GlobalXRC より速い 場合が多い。GlobalXM と GlobalXRM とはそれほど顕著な差はなかっ たと思われる。CITシリーズは、速い operation もあるが、全体的 には他の X端末に比べてかなり遅いといえるだろう。anritsu DX2000 もCITシリーズと同じくらい遅いといえる。CITシリーズと anritsu DX2000 は ROM 内蔵のサーバを使ったのが遅い原因かもし れない。